ある日、カービィは川辺を歩きながらリンゴをかじっていました。
「シャリ…poyo~🍎」
ところが、つるりと手をすべらせて、ぽちゃん! リンゴが川に落ちてしまいました。
すると、水面から川の神さまが現れて言いました。
「カービィよ、お前が落としたのは、このキラキラと光る巨大なショートケーキか?🍰
それとも、この湯気を立てる香ばしい焼き鳥セットか?🍗」
カービィはぱちぱちと目を瞬かせ、首を横に振りました。
「ちがうよ~。ただのリンゴpoyo〜」
川の神さまはにっこり微笑みました。
「正直なお前に、この三つ全部をあげよう!」
カービィは目をキラキラさせ、
「わあぁぁ!poyooooo!!!」
ケーキも焼き鳥もリンゴも、まるでおもちゃを食べるかのように一口で「ぱくっ!」と平らげてしまいました。
翌日、またカービィはリンゴを持って川辺を歩いていました。
「昨日はおいしかったなぁ…poyo~」
考えごとしているうちに、ぽちゃん! またリンゴが川に落ちてしまいました。
川の神さまが姿を現しました。
「カービィよ、お前が落としたのは、この豪華な彩りの寿司盛り合わせか?🍣
それとも、この黄金に輝く分厚いステーキか?🥩」
カービィはおなかをぐぅぅと鳴らしながら言いました。
「ちがうよ~。ただのリンゴpoyo〜」
川の神さまは大笑いして、
「正直なお前に、この三つ全部をあげよう!」
カービィは大喜び。寿司もステーキもリンゴも、あまりの美味しさに、ほっぺたをぷにぷにと震わせながら一気にたいらげました。
「poyoooooo! さいこう!」
三日目、カービィはリンゴをじっと見つめ、にやりとしました。
「ふふっ…また落としたら、きっとごちそうがもらえるpoyo…」
わざと指先をすべらせると、ぽちゃん! リンゴは川へ。
川の神さまが現れて言いました。
「カービィよ、お前が落としたのは、このドリーミーな巨大なアイスクリームパフェか?🍨
それとも、このこんがり焼けた丸焼きブタか?🐖」
カービィは無邪気な顔で答えました。
「ちがうよ~。リンゴpoyo〜」
「正直なお前に、この三つ全部をあげよう!」
カービィは満面の笑みで、パフェもブタもリンゴもぺろりと平らげました。
それから毎日、カービィはわざとリンゴを川に落とし続けました。
落ちるたびに、ケーキ、ステーキ、寿司、アイス、ハンバーガー、ピザ……
まるで地球の裏側からやってきたかのような、見たこともない珍しいごちそうが川から現れ、カービィのおなかに消えていきました。
ところがある日。
カービィがリンゴを落とすと、川の神さまが現れました。
「カービィよ、お前が落としたのは――」
そのとき。
神さまの目がカクカクと動き、その体の周りに、緑色の文字がチカチカと光り始めました。
「OutOfMemoryException」
次の瞬間――
空から無数のごちそうが雨のように降り注ぎました!🍔🍣🍖🍩🍕🍦🍫🍟
カービィは目を輝かせ、
「poyoooooo!!! たべほうだいだぁぁ!!」
ハンバーガーも、寿司も、ケーキも、神さま自身も、
さらには「ERROR」の文字まで――
ぜんぶ一口で食べつくしてしまいました。
気がつけば、川は静かに流れ、世界はまた平穏を取り戻していました。
おなかいっぱいのカービィは草むらにごろんと寝転び、
「poyo~……zzz」
次の日、カービィはまたリンゴを手に川辺を歩いていました。
「ふふっ、きっとまたごちそうが…poyo~」
そう言いながら、わざと手をすべらせ、ぽちゃん!
リンゴが川に落ちました。
……しかし。
水面は静かに波紋を広げるだけ。
川の神さまはもう現れません。
ケーキも、ステーキも、寿司も、何も出てきません。
カービィは首をかしげました。
「あれ? ごちそうはどこに行っちゃったの? 神さまは? poyo~?」
空気はしんと静まり返り、ただ川のせせらぎの音だけが響いていました。
カービィはしばらく川面を見つめていましたが、
やがてリンゴを思い出し、
「……まあ、リンゴもおいしいからいっか。poyo~」
と、残りのリンゴをかじりました。